一人ひとりの子育てを支援 小さな心配も相談すれば安心

公開日 2013年10月01日

高崎市こども発達支援センターは育児の不安・悩みの相談室です

ぜひ読んでみてください!! Poco a poco! (こども発達支援ガイド ポコ ア ポコ)

poco a poco

かわいらしい挿絵の冊子、こども発達支援センターが発行している子どもを理解するための冊子です。

子どもたちは10人いれば10とおりの育ち方があります。

バイオリンにはバイオリンの、フルートにはフルートの音色があるように、みんな違う個性を持って生まれてきます。

もっともっとお子さんのことを知りたいと思われたら、こども発達支援センターを訪ねてください。
 お子さんのいいところをどんどん探し、もっているステキな力を伸ばすことができるよう、SOSのサインを理解するヒントやそれに合せた関わりについてご一緒に考えましょう。

(Poco a poco より)

この、やさしく心強いことばがあふれる小冊子Poco a pocoを発行している“高崎市こども発達支援センター”とはどんなところなのか、とても興味がわいてきました。

そこで・・・

こども発達支援センターに行ってきました

平成23年4月1日にできたこども発達支援センターは、市役所17階にあります。
保育園や幼稚園、学校などからこども発達支援センターのリーフが配られていますので、その存在はだいぶ知られているのではないでしょうか。
高崎市のように、ひとつの市でこども発達支援センターをもつのは、全国でも数少ないことだそうです。

「こども発達支援センター・・名前は聞いたことあるけど、実際、どんなことをしているところなの?」
「子どもの発達に心配があるときに相談に乗ってくれるところみたいだけど、どんな相談ができるの?」
「ショウガイのある子の支援をする所なんでしょ?うちには関係ないわ。」

こども発達支援センターの説明リーフを見て、そんな思いをもった方も多いかもしれません。

発達に不安のある? だれでも不安はあるのでは? 

うちの子だって、発達に不安がないかって言うと・・ないとは言い切れません。
そもそも、子どもを育てていて発達にまったく不安を感じたことのない親なんているんだろうかとも思います。

「この子、大丈夫かしら?」
「子どもってみんなこんな感じ?それともうちだけ?」
子どもが2~3歳までに、こんなことを感じたことのある人は珍しくないのでは?

そこで、ちゃいたかサポーター2名が、実際にこども発達支援センターを訪ねてお話を伺いました。

どんなことをされているところですか?

資料を見せていただくと、とてもたくさんの幅広い支援事業がされていることがわかりました。

主な内容は次のとおりです。

1 相談

【個別相談】 

発達に不安や課題のある子どもとその保護者などの相談に、専門家が直接応じます。
平成24年度は、2,390件もの個別相談が行われました。
相談の年齢は3歳~6歳が最も多く、内容は行動上の問題、ことば・運動の遅れなどが中心です。

【保育所・幼稚園巡回・学校訪問相談】

早期に適切な関わりがなされることにより子どもを健全に育成できるよう、市内の全保育所や幼稚園を年1回以上巡回して相談に応じます。
平成24年度は、1,200人以上の子どもが支援対象となりました。

また学校を訪問し、児童の観察、先生方と支援の方法についてアドバイスや検討をします。
新しい環境での混乱からか、じつに新1年生の17%に何らかの支援や検討がなされたそうです。

【乳幼児発達相談(にこにこるーむ)】

発達の遅れや偏りのある乳幼児への早期支援開始と、保護者の安心のための支援です。月に1~2回、各保健センターで行っています。

2 保護者支援

【ペアレントトレーニング】

保護者が子どもへの対応の仕方を学び、イライラしない子育てや、より適切な子どもとの向き合い方を身につけるトレーニングです。

【すまいる子育て講座】

発達に不安を感じながらも相談にいたらない親がたくさん参加し、子どもへの対応の方法や正しい理解の情報提供がなされています。この講座をきっかけに個別相談をするなど、こども発達支援センターへの入り口になることも。
保護者同士の交流の時間もあり、育児の不安軽減に役立っています。

3 療育支援

【かるがもくらぶ】

療育が必要な2歳半から年長を中心とした子どもとその保護者が参加します。いろいろな遊びをしながら子どもを観察し、アドバイスや指導、保護者の不安解消を図っています。

4 人材育成(保育や教育の現場でのコーディネーター育成)

保育園・幼稚園・学校などで、発達に課題をもつ子どもとその保護者への適切な対応や他の機関との連携が取れるよう、支援の中心的役割を担う先生向けの研修を行います。

5 啓発活動

多くの人に発達障害などの特性を理解してもらい、子どもたちが安心して生活できる地域になるよう講演会を実施しています。
また、保育園・幼稚園・学校などに出向き、保護者や職員向けのセミナーも行っています。

ほかに、情報提供のためのセンター便り、こども発達支援ガイドPoco a pocoなどが発行されています。

おしえて所長さん!相談に行くのが不安です・・・

こんなにたくさんの事業をされているこども発達支援センターの砂盃所長さんに、お忙しい中お時間を取っていただきました。

Q:個別相談に行くと、どんなことをするのですか?

相談に行ったら、なにか判定されるの? 育て方について厳しく指導されるの?などとイメージする親が多いようです。実際には、初回の相談ではどんな事をするのですか?

A:相談のときはおおむね以下のような感じです。

  1. 1.電話で相談日時を予約する。

  2. 2.センターから送られた書類に、今までの様子や今困っていることなどを記入して返送する。

  3. 3.第1回目の相談・・・約60分

相談員は2人。保護者の話を聴く人と子どもと遊びながら観察する人に分かれる場合や親子一緒の場合によりますが、保護者の話をゆっくり聴いて、この時点でできる助言などがあれば伝えることが中心です。
そのうえで、次回からの対応や必要に応じて検査などの予定を決めます。念のため発達検査が行われ、その後の支援プログラムが作られることもあります。

Q:発達が多少心配なことがあるのだけど、どのくらい心配なら相談すべきなのかがわかりません。
発達に不安があるといえば、うちの子もときどき心配になるのですが、いざ相談したら「このくらいで相談しないで」とか言われるんじゃないかとも思うし、わが子が“ショウガイ”だなんて思いたくないし・・自分で見極められないですよね。

A:こども発達支援センターの相談対象は、発達に不安のある子どもとその保護者ですから、どんな不安でも、その度合いにかかわらず相談に応じます。
個別相談に来る方の中には、自主的に来られる方もいますが、保健センターの健診や地域の子育て支援センター、保育所・幼稚園・学校の先生のすすめなどで来る方もいます。たくさんの子どもと触れあっている先生方が、必要に応じてこども発達支援センターへの相談をすすめてくれるでしょう。
お子さんの発達に不安を感じたら、自分ひとりで悩まずにまず身近な子どもの専門家である先生方に相談されることもいいと思います。

Q:うちの子の園に、こども発達支援センターの巡回相談が来たと聞いたのですが、どんなことをするのですか?
もし、そこでうちの子に何か問題があると言われたらと思うととても心配です。

A:保育園や幼稚園の巡回相談では、日頃の集団保育の中で発達や行動が特に気になるお子さんについて、現場の先生から適切な関わり方の相談をされることがあります。また、先生方が気になっていないお子さんでも観察の中でこちらから関わり方について助言する場合もあります。
できるだけ早い時期から、その子どもにとってより安心できる環境を整えるために行っています。

Q:子どもに発達障害の傾向がある場合、発達障害は治らないと聞いているので、治らないのに診断だけされても意味があるのでしょうか?

A:小さなうちから発達の課題に気付いた場合は、その子どもと日々を共に過ごす人達の理解と適切な向き合い方によって、子どもが安心していきいきと生活できるというメリットがあります。
発達障害について、理解のしかたにアドバイスを受けたり、正しい情報を受け取ることが子どものためになり、保護者の不安も軽くすることになりますので、とても意味のある事です。

 

この日、国立のぞみの園診療所の有賀道生先生とお会いすることができました。
有賀先生は発達障害支援を専門に臨床活動をされているお医者さんです。
お忙しい相談の合間に、質問をさせていただくことができました。

Q:広汎性発達障害について、わかりやすく説明していただくとどのような表現になりますか?

A:“大多数の人達とは違った文化、習慣で生活している人達”だと思うと理解しやすいと思います。
だから、お互いの文化、習慣を理解し合うことが必要です。
生活のルールを理解してもらうのにも、相手に“なるほど”と思わせる説明が必要で、よく考えていつでも通用する説明をすることが大切です。

なるほど!この説明よくわかります。小さな子どもにものを教える時とおなじですね。その時々でいろんな事を言うのではなく、いつも同じことばで説明するようにした方が子どもが混乱しないですみます。
いつでも通用する説明を見つけるのはちょっと大変な時もありますが、工夫が必要ですね。

Q:こども発達支援センターで支援を受けているのは、発達障害の子どもたちですか?

A:発達に不安や課題のある子どもはすべて支援対象です。
発達障害だけでなく、ことばの遅れや動作性の遅れもあります。そのため、スタッフは臨床心理士・臨床発達心理士、作業療法士、言語聴覚士、保健師、看護師、教諭、保育士など幅広い専門職がいます。また、医師による相談も月4回行っています。

開設から3年目、利用者も増加

群馬県では初めての市のセンターで、全国でもこのような支援センターは珍しく、高崎市民は一貫したサポートが受けられることを頼もしく感じました。
子どもの支援だけでなく、その周囲の保護者や保育者等、みんなで一人ひとりの子どもの個性を伸ばす支援を行い、幸せな成長につながっていくと良いなと思いました。

こども発達支援センターが開設されて3年目になり、相談件数がますます増えているそうです。
子育てについてわからない事や不安なことを抱える親にとって、いざという時の相談先があるということは、とても心強いことです。
こども発達支援センターは、高崎市全域の発達に不安を抱える子どもの理解と環境づくりのけん引役であり、それはすべての子どもたちの安心と健全な育ちを支える力強い支援機関でした。

子どもを育てていると、子どもの思わぬ行動に自分の子育てやしつけを反省し、落ち込んだり悩んだりすることがあります。
よその子とくらべて小さい、遅い、弱いなど、子どもの発達についての心配も、この子はこの子、ゆっくり見ていこうと思いながらも親として一人不安にかられることもあります。

子どもに問題が生じたとき、親ははじめから親としてその問題を受け入れることができるでしょうか。
早期発見が大事とわかっていても、なかなか相談に踏み切れない親もいて当然だと思います。
保護者としての自分の役割より先に、保護者自身のこころの整理が必要なときもあるでしょう。
 

砂盃所長さんは、「子どもと毎日接する人の対応が大事」とおっしゃいます。
こども発達支援センターでは、子どもの日々の安心のために子どもの相談だけでなく、保護者支援プログラムにも熱心に取り組んでいます。
そして、発達に不安のある子どもだけでなく、子育て中の親がだれでも知っていると役立つ、子どもとの関わり方の知恵がここにはたくさん蓄積されているようでした。

最後に、お忙しいなか、ちゃいたかサポーターの訪問にお時間を取っていただき、ていねいに説明してくださった砂盃所長さん、幸運なことにお会いでき発達障害についてお話くださった有賀先生に心より感謝いたします。ご協力ありがとうございました。

子どものいいところをどんどん探し・・・ステキな力を伸ばすことができるよう・・・一緒に考えましょう。

子どもの個性が花開くとき、お母さんやお父さん、おじいちゃんやおばあちゃんから受け継いできたステキな音色を奏でることでしょう。

Poco a poco  少しづつ、でも確実に。

だいじょうぶ。ちゃーんとおおきくなるよ。 

ひとりじゃないよ。

(Poco a poco より)

こども発達支援ガイドPoco a Poco! ぜひ読んでみてください。高崎市のホームページに掲載されており、ダウンロードできます。

こども発達支援ガイド ポコ ア ポコ


高崎市こども発達支援センター

 こども発達支援センターのホームページはこちら


ちゃいたかサポーター taniguti / massutani