iitokoカット　～がんばるお母さん支援事業iitoko～

公開日 2016年12月20日

iitoko拠点

高崎市吉井町にあるボランティア団体がんばるお母さん支援事業ｌiitoko（いいとこ）は、発達障害
などでヘアカットが苦手なお子さんの為に、”iitokoカット”というプロの美容師さんによるヘアカット
の取り組みをしています。

今日は小学1年生のAちゃんのカット予約が入っているとのことで、お邪魔させていただきました。

代表の浅香さんからお話しを伺いながら、写真は撮れたらで・・・
なんて思っていたら、Aちゃんがやってきました。

きょうはひとりでがんばります！

iitokoカットは、2か月に1回ペースで、もう1年くらい利用しているAちゃん。
なんと、「きょうはひとりでがんばります！」と元気に宣言していました。
「ほんと！？えらいね～かわいくしようね～」プロの美容師の中島さんが明るく優しく声を掛けます。

「じゃ用意しようね。」お母さんの明るい声掛けに、Aちゃんが着始めたのはレインスーツ。
ケープを嫌がった時など、その時の状況に対応できるようにAちゃんのお母さんはいつも
レインスーツを用意されるそうです。

iitokoは古民家をリフォームして活動しています。
カットも日当たりのよい南向きの板の間で、あるのは食堂用の椅子と姿見（鏡）だけ。
アットホームな雰囲気だから、怖さも半減するのでしょうか。

丁寧な声掛けでカットもスムース♪

中島さん「Aちゃん、じゃあお椅子に座ってください」
Ａちゃん　「うん」
中島さん「Aちゃん、首にこのタオルを巻いていいですか？」　
Ａちゃん　「はい、いいですよ」
中島さん「次は、このケープつけていいですか？」
Ａちゃん　「はい、いいですよ」

中島さん「じゃあ、カット始めまーす。こっちからね・・」　

iitokocut3

中島さんもiitokoカットを初めて2年余り。
それまでもプロとして子どものカットをしたり、自分のお子さんのカットも工夫しながらやってきた
そうですが、「ひとつひとつの場面で、丁寧に声掛けするのはここで学びましたね。」とのこと。

「スティッチも応援してるよ～。Aちゃんがんばって～。ここから見てるよ～」
iitoko代表の浅香さんも、Aちゃんの気持ちのフォローに回ります。
お母さんも鏡の後ろから、みんなで優しくほめたり励ましたりしています。

きょうのAちゃんのカットは、宣言通りとてもスムース。
ここまで来るのは、お母さんの理解と努力の賜物だそうです。

Ａちゃんのお母さんにお話を伺いました

Ａちゃんは、去年まで家でカットしていたのですが、だんだんハサミが顔に近づくのを怖がって、家では
全くカットできない状況になりました。
お店に行ってカットするのはもちろん無理で、でも成長して、見た目もママカットではなく、もう少し綺麗
にショートな感じで整えてあげたいと思っていたそうです。
今回もこちらでカットするだけでなく、一週間前の休日に、まず遊びに来て、場所に馴染んで、今度カット
しようねと、意識作りから始めました。

（事前に予約は取ってあったのですが）改めてＡちゃんに話をしたところ、『「自分でお願いをする」と言い
出して、自分から電話で「よろしくお願いします」と言えたのでびっくりしました』とお話しされてました。

なるほど！前もって場所に慣れるようお子さんを安心させてから、本人にも心の準備を整えてからという
取り組みを1年やってきて、初めてひとりでがんばる！となったわけですね！

子どもに合わせて柔軟な対応から

代表の浅香さんによると、iitokoカットはとても好評で、『「美容師さんにカットしてもらえる日が来るなんて
想像できなかった」と喜ばれるお母さんもいます』と笑顔で話されていました。
お子さんによっては、その日、その時によって、「ここなら髪切ってもいいよ」という場所がいろいろだそう。
倉庫のようなところで「ここでやる」と言う子もいれば、ベビーバスにお湯を張って「その中でならやる」と言う
子もいるとか。『美容師の中島さんは、どんな状況でも、ささっとカットしちゃうので、さすがです』と浅香さん。

神経過敏で、髪の毛に触られるのが嫌だとか、美容院の雰囲気が怖いとか、いろいろな場面で、子どもの
ヘアカットに悩んでいるお母さんはいると思いますが、まずはiitokoカットで慣れて、だんだん成長したりして、
次第に美容院でも大丈夫になるかもしれません、とのことでした。